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平成24年度 (第63回) 電気・情報関連学会中国支部連合大会

部門: セッション 0501  3. 電気・電子材料-(1)
日時: 2012年10月20日(土) 9:00 - 10:18
部屋: 教養棟1号館 301室 (→地図)
座長: 山田 容士 (島根大学)

3-1 (時間: 9:00 - 9:13)
題名Bi-2212相超電導単結晶へのピンニングセンタの浸透
著者*高尾 菜央子, 今尾 浩也 (松江工業高等専門学校)
Pagep. 103
KeywordBi-2212相, 超電導単結晶, ピンニングセンタ, 臨界電流, シミュレーション
AbstractEr2O3をピンニングセンタとして浸透させたBi-2212相超電導単結晶について、ピンニングセンタの浸透形態を検討した。Er2O3を浸透させた単結晶の、劈開回数ごとの臨界電流の変化をシミュレーションすることにより、ピンニングセンタの単結晶への浸透モデルを構築した。これにより、Er2O3はピンニングセンタとして単結晶へ一定の密度を保って表面から約70μmの深さで浸透すること、また、ピンニングセンタ浸透層では、各層ごとの臨界電流を約4.7倍に増加させる働きがあることが明らかになった。

3-2 (時間: 9:13 - 9:26)
題名Bi-2212相超電導単結晶の臨界電流の経時変化
著者*佐藤 佑紀, 今尾 浩也 (松江工業高等専門学校)
Pagep. 104
KeywordBi-2212, 超電導単結晶, 経時変化, 臨界電流
AbstractBi-2212相超電導単結晶を大気中放置すると、単結晶表面に劣化層が形成され、Icが低下する。6ヶ月放置した単結晶では、表面劣化層は表面から一定の密度で深さ方向に50μm形成されていた。様々な条件でIcの値のシミュレーションを行ったところ、劣化層内部での電導電流はピンニングセンタにより維持されるが、層間をトンネルする電流が減少していることがわかった。

3-3 (時間: 9:26 - 9:39)
題名部分溶融Sm系超電導体の結晶配向と臨界電流密度
著者*坂井 翔, 今尾 浩也 (松江工業高等専門学校)
Pagep. 105
Keyword部分溶融法, ピンニングセンタ, 臨界電流密度, 結晶配向
Abstract部分溶融法によりSm-123超電導相内部にSm-211絶縁相を微細分散させた試料を作製した。部分溶融時に試料表面に配置する種結晶をMgO,STO,Bi-2212相超電導単結晶と変えて作製した。また部分溶融時に試料を支えるアルミナ片の間隔を変えた試料を作製した。いずれの作成法においても、表面に形成される結晶粒の配向が大きく形成された試料ほど、大きなJcとUpが得られた。これらの絶縁相の濃度は一定であることから、配向した結晶粒の大きな試料ほど絶縁相がより微細に分散して良好なピンニングセンタが形成されたものと考えられる。

3-4 (時間: 9:39 - 9:52)
題名超電導ウィスカーにおける成長機構の考察
著者*松本 凌, 田中 博美 (米子工業高等専門学校 電気情報工学科), 山神 成正, 玉井 博康 (鳥取県産業技術センター 機械素材研究所)
Pagepp. 106 - 107
KeywordBi系高温超電導体, ウィスカー, 熱応力, 曲率半径
Abstract本研究では,高品質な高温超電導体であるBi系ウィスカーの大型化を目的とし,その成長機構を解明するための研究を行った。具体的には,母材であるガラス急冷体に生じる内部応力と成長機構についての関係を,金属塗布という新しい手法を用いて確かめた。金属塗布とは,ガラス急冷体に金属を塗布し育成することで,線膨張係数の差や熱応力を利用し,内部応力を高める方法である。実験の結果,金属塗布を用いて内部応力を増加させることで,Bi系ウィスカーの成長が促進されることが明らかとなった。これは,Bi系ウィスカーの成長機構の解明において,大きな成果である。今後は本研究で得た知見を応用し,内部応力を更に増加する手法を考案する。

3-5 (時間: 9:52 - 10:05)
題名Bi系高温超電導ウィスカーにおけるアニール処理効果
著者*渡邉 秀俊, 田中 博美 (米子工業高等専門学校 電気情報工学科)
Pagepp. 108 - 109
KeywordBi系ウィスカー, Tc, アニール処理, 酸素
AbstractBi系高温超電導体は、「資源が豊富」,「作製が容易」など応用上のメリットが数多く存在する。しかし、磁束を捕捉するピン止め力が弱く、流せる電流の上限値である臨界電流密度が小さいという問題がある。最近の研究で、Bi系超電導ウィスカーは高い臨界電流密度を持つことが明らかになった。本研究では、Bi系超伝導ウィスカーの実用化に向けて更なる臨界電流密度の向上を目的とする。そのために臨界電流密度と強い相関のある臨界温度の改善を試みた。具体的には、酸素雰囲気下においてアニール処理を施した。このアニール処理により、Bi系超伝導ウィスカー内のキャリア密度に変化が起こり、臨界温度が改善される結果となった。これにより、強い相関のある臨界電流密度も向上すると期待される。

3-6 (時間: 10:05 - 10:18)
題名Bi系高温超電導ウィスカー育成における触媒補充効果
著者*荒木 優一 (米子工業高等専門学校 専攻科 生産システム工学専攻), 田中 博美 (米子工業高等専門学校 電気情報工学科)
Pagepp. 110 - 111
KeywordBi系高温超伝導体, ウィスカー, 触媒補充効果
Abstract本研究では,Bi系高温超伝導ウィスカーの育成方法であるASGQP(Al2O3-Seeded Glassy Quenched Platelets)法では明らかとなっていない,母材内部におけるAl2O3触媒補充効果を検討した。この母材内部へのAl2O3触媒補充に着目したBi系高温超伝導ウィスカーの育成方法をAIR-GQP(Al2O3-Internal Replenished Glassy Quenched Platelets)法と名付けた。AIR-GQP法を用いてBi系高温超伝導ウィスカーの育成を行った。その結果,Bi系高温超伝導ウィスカーの成長には母材表面だけでなく,内部のAl2O3触媒も利用されていることが分かった。また,母材内部にAl2O3触媒を補充しない方法と比べ,Bi系高温超伝導ウィスカーの育成時間が約45%短縮されることが明らかとなった。